みなPAPA

しごとのあれこれ 語ります

昇給

さっそくお読みいただいている方から質問が来ましたので、お答えしようと思います。

 

Q : 派遣って賃金値上げしてもらう事ってできますか?

 

YESかNOかでいうと、答えはYESです。

が、現実的にはかなりNOに近いYESですね。。。

ただ、派遣会社によってかなり対応の差があります。

すべて説明すると本一冊になっちゃうくらいのはなしなので、、、

ここでは簡潔に書こうと思います。

 

まず、賃金の交渉をするタイミングについてです。

一番良いタイミングは10月~12月に交渉をお願いすること。

そして4月から時給を上げてもらうというのが一番現実的なタイミングだと思います。

企業によってはハケンの更新期間ごと(3か月や6ヶ月)に上げられそうなものですが、実際に交渉をしてきてこれはかなり難しいです。

一度決まった派遣料金は基本1~2年は変わらない。

変わるケースがあるのは、もともと契約に「一定期間が経過し定着就業が見込めること」または「ここまでできるようになったら派遣料金を変更する」という条件が付いている場合です。

これは派遣契約前にハケンの営業担当が交渉していないと、まず開始時の条件として加わることはありません。

もしあるとすれば、急な企業からの依頼で、短期間のうちに、複数人数を派遣してほしいというオーダーをもらった場合です。

緊急性が高く、人材が集まらないと物が作れないから、ですね。

ではなぜ年の後半、10月~12月に交渉するのがよいのか。

それは1月~3月に派遣先企業での社員に対する昇給となる企業が多いからです。

他の社員と同じタイミングなら上げやすい、ということです。

社員の方は直接雇用ですので、会社によっては定期昇給というものがあります。

ただ、現実派遣社員では定期昇給はかなり少ないのが現実です。

その中で、10月~12月の間に交渉をお願いすると、能力の査定をしてくれる企業がいます。

ちゃんと社員で同じことをしている方と比べ、作業量や業務遂行能力、時間工数や仕事の精度などを比較し、上回っていれば査定対象となります。

しかし、この査定は時間がかかるんですね。

派遣先の企業に打診して、評価をしてもらって、その評価で派遣先企業の中で料金を変えるかを協議し、どれくらい上げるのが妥当かも協議され、いつ上げるかも決められ、派遣会社に連絡が来ます。

なので、このような時間がかかることを前提にしつつ、派遣先企業さんが自分の会社の社員に対して行う能力評価のタイミングにあわせることで、交渉を受け入れやすくする、結果上げるタイミングは4月となる、これが王道パターンで一番交渉がうまくいきやすいタイミングだと思います。

 

タイミングとしては上記の通りですが、同じ職場の同じ部門で、同じ人と同じ仕事をしているが、自分の方が圧倒的に仕事をこなしている場合。

時給を上げてほしいといってうまくいくでしょうか?

これは正直、上がる可能性はかなり少ないと思います。

ハケンで仕事する場合、契約書には業務内容が必ず書かれます。

例えば「電子部品の製造、出荷、梱包、その他付随業務」であったり、「魚のカット、パック詰め、商品陳列、その他付随業務」などですね。

本来派遣というのは「この業務ができる方を派遣してください」というのが前提となっています。

ただ、時代がかわりいきなり業務をすべてできる方はよほどの専門職でないとなかなかいません。

法律上は変わっていませんが、実際今のハケンは「やれそう、やってみたい、やれる根拠がある方であれば派遣を受け入れる」という企業がほとんどになっています。

つまり、業務内容にあるモノづくりができるようになること、魚のカットを完璧にできるようになることは派遣開始時の料金に含まれていることになります。

業務内容の範囲内であれば、やることが多くなっても契約の範囲内となってしまうわけです。

しかも、業務内容にはよく「その他付随業務」という言葉がよくついてきます。

これがやっかい。

どれだけ業務範囲が広くなっても、同じ部署内の仕事であれば具体的に書いてある業務以外の仕事をお願いすることも含みます、ということです。

やることが増えても、同じ部署内なら今の時給の範囲内となってしまうんです。

なので、派遣料金を動かす気のない派遣先企業はほぼ業務内容に「その他付随業務」という言葉を付けてきます。

逆に言えば、この言葉が書かれてない場合は交渉がうまくいく可能性は高くはないですが、ありますと言えるかと思います。

大前提、業務内容に書いてないことをやってもらうのは、派遣法上違反になる可能性は高いです。

つまり、「その他付随業務」と書かれてない契約を結んでいる場合、本来は契約書を変えなければいけないんです。

そうなると、業務内容が追加されますよね。

今まではAという仕事で1000円の時給という契約だった、でもBという仕事とCという仕事もするようになった。Aで1000円だったのに、A+B+Cで1000円はおかしいよね?ということです。

 

理屈では筋が通っていますので、当たり前にこれなら時給が上がりそうという感じがするかと思いますが、ここで重要になるのが派遣会社の営業担当の質です。

先日の記事でも少し触れましたが、派遣会社の営業担当の、会社からの評価は人数を増やすこと、利益を上げること、自分の手当を増やすこと、これを最優先する担当が多くいます。

結局は自分の営業担当がしっかり時給について話を聞いてくれて、どんな仕事を追加でやっているかまたは他の方とどう違う仕事をしていて、それが他の方にできない仕事だということを把握し、企業と交渉する気があるかにかかっています。

 

まず話を聞いてもらって経過報告がなかったり(今話はしたけど返事待ちだよ、と連絡が無かったり)、具体的な業務内容を営業担当が把握していないのに「わかりました、交渉してみます」と言ったり。

 

「営業担当が自分に対し真摯に向き合っていない」

 

この場合は時給が上がることはまずないと言ってよいかと思います。

どれだけ最初の派遣会社選びによって損をすることか、、、

時給の問題だけではなく、結局はこの一言に尽きるかなと思います。

 

しっかり自分の要望に対し動いてくれても結果上がらないこともあります。

それは派遣先企業の考え方や、法律上の問題、派遣会社の規則の問題など、担当でどうにかできる範囲を超えている場合がありますので、その際は担当を尊重してあげてほしいです。

本当に努力してくれる営業もちゃんといます。

 

最後に、派遣会社が時給を上げやすいタイミングについて。

毎年4月がこれにあたります。時給を上げてほしいというなら1月~3月上旬がよいかと思います。

今の法律では職種にもよりますが、毎年4月に最低賃金が変わります。

みなさんと時給の話はしていなくても、会社間ではやり取りする派遣料金の交渉を水面下で行っている場合が特に最近はよくあります。(2020年に派遣法改正となったため)

その交渉がうまくいくと、皆さんの時給を上げる原資を確保できるわけです。

派遣会社は企業から料金をいただき、その中から時給分を割り振ります。

派遣会社にも利益が入らないと、ビジネスが成立しないからですね。

原資があれば会社にも利益が入るし、皆さんもがんばっていただいているので、時給が上がりやすいというわけです。

 

ということは、

 

・こういうところまでがんばってできるようになると○○円時給が上がるよと基準を明確に言ってくれる会社

・入社前から自分に真摯に向き合い、行動に移してくれる形が見える会社

・時給について質問した場合、4月に時給が上がる可能性があると教えてくれる会社

 

こういう会社はとてもいい派遣会社でしょう。

 

では最後に。

 

担当に言わない限り、個別に能力評価がされ、時給が上がることはまずありません。

上がる会社もありましたが、非常に少ないのが派遣会社に16年いて見てきた結論です。

しっかりタイミングを見極め、営業担当に自分はこんな理由で、業務内容に書いてないこんなことをやっていて、これだけ時給を上げてほしいと積極的に言い続けてください。

 

皆さんの評価を派遣会社が行い、派遣社員でもやることをしっかりやっていれば定期昇給がある。

こんな当たり前のことができていないのはハケンだけではありません。

同じ仕事をしているなら、同じ対価をもらうべき。

それが外国人であっても、障害をもっている方であっても、パートの短時間勤務の方であっても。

これを是正しようと動いたのが政府の「同一労働同一賃金」といわれるものです。

 

昇給についてはここに書いたことがすべてではないですが、あまりに長文になったので

今日はこのへんで。

 

 

みなぱぱ